Pinterestなどでよく見かける次の写真。とても洗練されたデザインの自転車駐輪ラック。
これってどのような構造になっているのか興味が湧きました。
実は、この写真で不思議なことが二つあります。
一つ目は、写真の出典が不明なこと。いくら探しても出典にたどり着けません。
たぶん、”eckxstudio“というサイト(のリニューアル前)の記事(2015年1月21日)が最初の紹介記事だと思うのですが、出典が分からない。
ネットでいろいろ探すと、ポーランドの会社のプロトタイプの商品という書き込みがありますがその真偽は不明です。このような構造の自転車ラックの写真は、ネット上にはこの一枚しかありません。これも不思議。
二つ目は、このラックの構造が分からないこと。歩道に埋め込まれた金属バーが立ち上がり、自転車の前輪を支える構造なのは見れば分かります。
しかし、この金属バーは、どうやって立ち上げるのでしょうか。
最初は、所定の位置に前輪を載せると、その重さで金属バーが立ち上がるのではないかと考えました。
ところが、写真をよく見ると、そのようなメカニズムはない、と考えられます。その理由は、歩道の端の方は、たぶん縁石にペンキで描いたものです。何らかの装置を組み込んでいる分けではありません。
いくら探してもこの写真以外、この構造のラックが見つからないことから、これは、まさにプロトタイプとして作成したデザイン見本のようなものなのではないでしょうか。
ところが、ロシアのサイト 1) で、この商品の販売リンクを掲載している記事を見たことがあります。確認したところ、一応、販売されているようです。1機22,000円くらいです。
しかし、設置された画像がネット上で一切見当たらない。これはおかしい。やはりプロトタイプのように思います。
しかし、管理人は、このデザインが気に入っています。
街角で見かける駐輪場は、ゴッツイつくりで街の景観を損ねます。さらに、自転車が駐輪していなくても、駐輪施設はそこにあり、邪魔です。
このデザインのように、駐輪する時だけ装置が立ち上がり、駐輪しないと装置が見えなくなり平坦な歩道になる。これはとても合理的だし、景観上も素晴らしい。
考えられる構造としては、下のように支点Oの近くに作用点Aがあり、ここに自転車の前輪の荷重がかかることで装置を跳ね上げる。
跳ね上げて装置を固定する仕組みとそれを解除する仕組みが必要です。さらに、作用点Aの踏み込み深さが小さくてもバーが跳ね上がる仕組みも必要です。考えられる構造としては、バネと回転カムで、前輪が乗った時、カムのロックが外れて、バネの力でバーが跳ね上がる。使用後は、手動で元の位置までバーを押し下げ、カチッとロックする。
これって実在しないのでは?
この写真は実在しない画像のように感じます。試しにしたの写真を作ってみました。
PhotoshopのVanishing Point(CCでは「消失」という名になっている)を使えば何個でも作れます。縁石の角の部分はペイントしたもの。つまり、何らかの装置が埋め込まれているわけではない。やはり、Photoshopで作ったmemeの作品だろうと思います。
参考:
1) ロシアの販売サイト
商品名は、「ヘラクレス3814」のようです。
https://air-gym.ru/veloparkovki/veloparkovka-skladnaya/
https://kaluga.bikes-n-parts.ru/o615/veloparkovka-skladnaia-hercules-3814
https://air-gym.ru/veloparkovki/veloparkovka-skladnaya/