生成AIを使って無料で長い動画を作成するにはどうすればよいか

はじめに:動画生成AI

 動画生成にAIを用いたWebサービスが多く存在します。そこで、片っ端から試してみたのですが、どれもこれも中途半端なものばかり。これらのWebサービスを紹介している記事もたくさん見かけますが、ほぼ役に立たない。その理由は、自分で試した記事ではないからです。つまり、サービス提供側の情報を羅列しているだけでユーザーがどんな情報を知りたいのかという発想もなく記事を書いているので使えないのです。

 今回は、下のような動画を作ってみました。

 この動画では、1枚の画像の人物をいかに動かすかがポイントです。AI生成動画を作りたいと思っている人の関心は、どこまで人物を動かせるかにあると思います。そして、それは、人物の動きだけではなく、背景も違和感なく動くことが前提条件です。

 まずは、動画をご覧ください。AI生成の欠点である手の描写が不自然など小さな問題に過ぎません。注目すべきは、背景の描写です。

使用したサービス

 画像AI生成サービスを提供するサイトはたくさんありますが、動画をAI生成できるサイトは限定的です。その中でも無料で使えるサイトはほんの一握りに過ぎません。

 無料でもらえるクレジットと一回の生成に必要なクレジットとの関係が重要です。つまり、何回、無料でお試しができるかということです。

 今回の動画で使用したサービスを列記します。

 使っているサービスは、『HitPaw』『vidful.ai』『EaseHow』『Pixverse』『Pika』『Vidu』の六つです。

1. 00:00:00 – 00:14:11 Vidu AI Vidu 2.0+HitPawで高画質化(オープニング)
2. 00:14:11 – 00:24:11 写真(たくさんのツールを使って全身画像を生成)
3. 00:24:11 – 00:29:11 vidful.ai
4. 00:29:11 – 00:35:00 hailuo.ai 01 +MINIMAX
5. 00:35:00 – 00:40:19 hailuo.ai 02
6. 00:40:19 – 00:51:08 hailuo.ai 03
7. 00:51:08 – 01:01:29 hailuo.ai 04
8. 01:01:29 – 01:07:18 hailuo.ai 05
9. 01:07:18 – 01:17:25 Vidful.ai + EaseHowでFace swap
10. 01:17:25 – 01:30:06 Pixverse 5
11. 01:30:06 – 01:35:07 Pika(首取れ)
12. 01:35:07 – 01:47:09 Vidu AI 05
13. 01:47:09 – 01:55:11 Vidu AI 04
14. 01:55:11 – 02:07:11 Vidu AI 06
15. 02:20:07 – 02:20:17 Vidu AI Q1 01
16. 02:20:17 – 02:33:19 Vidu AI Q2 02
17. 02:33:19 – 02:48:21 Vidu AI Q1 03
18. 02:48:21 – 02:57:02 Vidu AI Vidu 2.0+HitPawで高画質化(エンディング)

 使用した動画はすべて4秒から6秒のものですが、つなげる過程で各動画の再生速度を遅くして自然な感じにしているため、結構長い動画になっています。

使用した動画AI生成サービス

 オープニングとエンディングに使っているのは、『Vidu』で作成し、『HitPaw』で高画質にしたものです。

 『Vidu』には、「Vidu 2.0」「Vidu 1.5」「Vidu 1.0」の三つのモデルを使えますが、このほかに、最新の「Q1」というモデルが使える場合があります。通常は非表示でどのモードで使えるようになるのかはよく分かりません。色々試すほどクレジットに余裕はありません。

 『Vidu』で生成した背景には驚いてしまいます。宝姫のいる庭(宮廷)の全景が手に取るように分かります。この背景は静止画像を基にAIが自動生成したもので、こちらからは何の指示もしていません。

 『hailuo.ai』は、今回オススメNO1の生成AIです。背景描写がすばらしく、カメラワークを簡単に指定できます。ただし、手指の生成は苦手なようで、かなりいい加減です。このサイトが特にオススメな理由は、無料クレジットがなんと「1000クレジット」ももらえること。ただし、有効期限は3日間です。一回の生成に30クレジット使いまが、三日間ではとても1000クレジットを使い切れません。モデルは「12V-01-Director」「12V-01-live」「12V-01」の三つが利用できます。

 『Vidful.ai』は生成した人物の顔が別人になるという不具合があるため、『EaseHow』のFace Swapを使って元の顔に戻しました。

 首が取れるシーンで使っているのが『Pika』というサイトです。『Pike』には様々なモデルが存在するのですが、無料で試せるのは、Pika 1.5, Pikadditions, Pikaswaps, Pikatwists (Turbo)です。

 アップグレードすれば、Pika 2.0、2.1、2.2、Proが使えますが、お試しではできません。月に80クレジットもらえ、1回の生成で15クレジット消費します(model 1.0/1.5)。

 モデルと必要クレジットは以下のように書かれています。

5クレジット   Turbo model(Image or text-to-video)
10クレジット  Turbo model(using Pikascenes, Pikadditions or Pikaswaps)
60クレジット  Turbo model(using Pikatwists)
15クレジット  1.0/1.5 model
35クレジット  2.1 model(image or text-to-video)
60クレジット  2.1 model(using Pikascenes)
20クレジット  Pro model(using Pikadditions or Pikaswaps)
30クレジット  Pro model(using selfie with Your Younger Self template)
80クレジット  Pro model(using Pikatwists)

今回の動画では使わなかったが高性能な生成AI

 管理人が気に入ったのが『ImageToVideo AI』というサイトです。

 下の動画をご覧ください。これは、『ImageToVideo AI』で作成した動画をサイズを小さくするため『TinyWow』で圧縮したものです。このため、画質は劣化していますが、生成された動画のクオリティに驚かされます。とにかく可愛く仕上がっているし、仕草も自然で、手指も正確に生成しています。宝姫がとにかくキュートに生成されています。本当にカワイイ! 

 『ImageToVideo AI』をなぜ使わないのかというと、フリークレジットが「5クレジット」しかないのが理由です。4秒の動画を生成するのに「3クレジット」使うので、1回しかお試しできません。 

 また、『AI Free Video』というサイトもオススメです。このサイトは、登録なしで無料で動画生成ができ、さらに質も優れているしロゴも入りません。問題点としては、とにかく時間がかかること。生成が止まってしまうこともしばしば起きます。「Queuing… 0%」から進まない!

生成しっぱなしでなく動画の続きを作れる生成AI

 無限に動画を作り出す生成AIですが、最大の問題は、生成した動画の続きを作れないこと。無料サービスで使えるのは、わずか4秒から6秒の動画なのでこれをもっと延長したいのですが、動画の続きを生成できません。5秒程度ではワンシーンとして使うにしてもあまりにも短すぎます。最低でも10秒は欲しいところ。そこで、気に入った動画の続きを生成して欲しいのですが、ほぼすべての生成AIはこれができません。生成AIは生成しっぱなしで、自分が生成した情報を保持できないようです。これを作れるのが『Pixverse』です。管理人が知っている限り唯一の生成AIです。

『Pixverse』について説明します。作れる動画は解像度360pのもの。1回あたり必要クレジットは30です。初回登録で90クレジット、毎日ログインすると60クレジットもらえます。

 無料トライアルで3回のみ解像度540p(45credit)、720p(60credit)、1080p(120credit)で生成できます。しかし、クレジットが全く足りませんね。無意味なトライアルサービスです。

 生成した動画の続きを作りたいときは、生成した動画にオンマウスすると表示される「鉛筆アイコン」のリストの中にある「延長」をクリック。下の画像のように延長用プロンプト欄が表示されるので、延長したい部分の内容を記載します。このPromptは、たぶん日本語で記載できるのでしょうが、誤翻訳のリスクがあるので、英語で記載した方が無難です。とにかくクレジットに余裕がないので、色々試すことはできません。

 この延長を2回試したところ、きれいに14秒の動画が生成されました。5秒x3=15秒ではなく14秒です。何となく、1秒損した気持ちです。この方法だと、延々と延長を続け、1時間の動画も制作可能です、なんてね。そのためのクレジットは? とにかく、クレジットが足りない!

 

ロゴなし動画をDLする方法

 お試しで気に入ったらサブスクという流れですが、実際には二の足を踏みます。どのサービスも一長一短があるからです。さしあたり無料で動画を作成したいと思っても会社のロゴが入っているのが気になります。

 ロゴを取る方法はないようです。Photoshopで背景の動かない部分のロゴはきれいに消せます。しかし、背景が動く部分にロゴがある場合、一応消せますが、消し跡がとても汚い。ロゴを消せるサービスもありますが、期待外れです。ロゴを消すことはできません。

 ところが、ロゴなし動画をダウンロードできる可能性があります。生成された動画のプレビューでロゴが入っていなければ、その動画を別タブで開くとロゴなしでダウンロードできます。上で紹介した『Pixverse』などはこのタイプです。画面指示通りにダウンロードボタンをクリックするとロゴ付き動画のダウンロードとなります。

お試しクレジットが少なすぎて「お試し」にすらならない:対策

 動画生成AIを使ってみようと思ってもほぼすべてのサイトでお試しクレジット数が制限されています。3回程度動画を生成すればクレジットがなくなる。そして、ほとんどの場合、生成された動画には満足できません。Promptの書き方が悪かったのか、AIの性能が悪いのか、別の要因なのか、これが分からないとサブスクまで進めません。何のためのお試しなのだろうと感じます。

 そこで考えるのは、登録アカウントを別のメールアドレスで行い、複数のアカウントを作成するという方法です。しかし、この方法はほとんどの場合失敗します。サービス提供者側が対策済みだからです。

 次に考えられるのは、接続IPを変える方法です。具体的には、VPN接続します。この方法は結構効果的です。しかし、この方法でも認証に失敗する場合があります。

 そして、最後の手段は「ブラウザを変更する」ということ。Firefox、Chrome、Edge、Floorp、Braveなどブラウザを変更し、VPN接続し、別のメールアドレスで登録すれば、ほぼ確実に登録ができます。ブラウザを変更しなくてもキャッシュやクッキーを削除すれば良いのでは、と思いますが、それは違います。キャッシュやクッキーを削除してもサービス提供者側は同じPCからアクセスしていると認識できるようです。ブラウザが発信しているトラッキング防止信号などから判別しているのかも。よく分からないのですが。ブラウザの何らかの情報を取得して重複登録対策をしているのは間違いありません。しかし、ブラウザを変更すると新規登録できるようになります。

おわりに

 生成AIの世界は日進月歩で、日々、様々なサービスが誕生しています。しかし、その裏側では様々なサイトが閉鎖しています。ところが、閉鎖したというのは見せかけで、名前を変えて再登場しているサイトもあります。それらのサイトの目的は、クレジットカードの情報抜き取りであろうと考えられます。

 あるサイトでは、いきなりクレジットカードの登録が求められます。そんなサイトはどんなに魅力的に見えても即閉じします。サブスクに登録するにしても、カード情報を直接渡すのには抵抗感があります。特に、生成AIが得意な中華系サイトのサービスを使うときは注意が必要でしょう。