ジャノメ メモリークラフト6000が動かなくなった:自分で修理する

奥様からの悪魔の依頼

うちの奥様から、ミシンが動かなくなったから見て欲しい、との要望がありました。

管理人はミシンの修理屋ではありません(笑)。見て欲しい、の後は、管理人に丸投げ。まだ直らないの? と言うだけです。

一応修理できたので、覚え書きとして記事をアップします。ネットで探してもこのような記事は皆無です。

うちの奥様は、メーカーというか近くで修理をしてくれそうな所に電話して、ミシンの不具合の状況を説明したそうですが、先方の回答がよく分からないらしい。

この故障の原因は基板かも知れないとのこと。もし基板が故障の原因であれば、部品は既に製造していないので、修理は無理とのこと。

修理を依頼したくても、値段が分からないと頼むことを躊躇しますね。とても古いミシンなので、買い換えた方が良いのか、それとも修理した方が良いのか。そもそも修理が可能なのか。修理に出して修理できないと言われても、診断費や輸送コストがバカにならない。それなら最初から新品を購入した方がよさそうに思えます。、

電話の相手も現物を見てみないと見積額も言えないし、修理できるかどうかの判断はできない。かといって、当方は、修理か新規購入かの判断材料がない。部品がないのであれば、ネットでジャンク品を探し、部品とりするという手もあります。

まさに、三竦みです。

そこで管理人がミシンの状態を調べてみると、次のことが分かりました。

故障の状況

フットスイッチを踏むと動くのが普通なのですが、針は微動だにしません。モーター音はするのですが、直ぐにモーターが停止してしまいます。

ランプ類はどのモードでも正常に点灯しているので、基板の故障ではないように思います。もし、ランプが点滅したとすると故障の可能性があるのですが、点灯状態なので、正常なのでは、と思いました。

そこで、モーター部分を調べてみることにしました。

ミシンの修理分解は最低限の操作で!

ミシンはとても精巧なマシンです。ミシン本体はたくさんの部品でできており、これを素人が分解修理するなど、最初から諦めた方が良いでしょう。ミシンは素人が修理することを前提に作られてはいません。むしろ、素人には手に負えないように作られています。

もし、自分で修理しようとするのであれば、分解のための正確な手順を知る必要があります。

今回、管理人が行った修理手順を書くので、同様の不具合の場合は利用できると思います。

結論を書くと、故障の原因は、モーターベルトの切断でした。

故障の原因を特定する

具体的手順は後ほど記載します。ここでは、作業の流れを理解して下さい。

まず、モーターが怪しいと睨み、モーター部分のパネルを開きます。すると、モーターベルトが切断しているのが目にとまりました。どうやらこれが原因のようです。

しかし、別な不具合があるかも知れません。

そこで、切断したベルトをナイロン糸で縫い合わせ、ベルトを修復します。もちろん、直ぐに切れてしまうことは承知の上。あくまでも、作動確認です。

ベルトを装着しスイッチを入れると、ミシンは正常に動きました。やはり、ベルトの切断が故障の原因のようです。

ベルトを入手する

次に、モーターベルトを購入することにします。

ベルトには、「UNITTA 50114X025 K4N13 4M4」と書かれています。ところが、この名称でネットで探してもヒットしない。UNITTA社のHPを見てもこの型番の商品はヒットしません。

ジャノメ メモリークラフト6000はとても古い機種なので、部品はすでに生産中止になっているらしいのですが、代替のベルトがあるはず。そう思って調べてたのですが、類似のベルトが多すぎで、どれがこのミシンに使えるベルトなのかまったく分からない。

切断したベルトのサイズを調べると、長さ360mm、幅6mm、歯数115個 でした。

ベルトの型番が分からないと部品を入手できない

モーターベルトは、長さ、歯の数、ピッチが異なると使えません。

そこで、メーカーに問い合わせしました。すると、型番が分かりました。部品の在庫はあるそうです。

モーターベルトの型番
メモリークラフト6000用 モーターベルト

品番:830-276-006 価格:300円+税

八王子の蛇の目ミシン工業株式会社(〒193-0941 東京都八王子市狭間町1463)お客様相談室で購入が可能です。

管理人は予備も含め、二本購入しました。値段は1本300円 + 送料120円です。

いよいよ修理。むやみに分解してはいけません

モーターベルトを交換するために外すネジの数は全部で四つです。それ以外のネジは外さないように。修理のプロならミシンをバラバラに分解しても簡単に組み立てられますが、素人は絶対無理です。最低限のネジだけ外します。

その内の一つは隠しネジになっており、六角レンチでないと外すことができません。たぶん、対角2.5mmの六角レンチだと思います。使った六角レンチを定規で測ってみると、対角は2.5mmでした。

具体的手順は以下の通り。

    1.  まず、ミシン上部の蓋を開き、ネジを二本外します。(下図①、②)
    2.  次に、把手の右側にある深い位置にあるネジを外します。このネジはワッシャー付きで、他のネジより細いものです。(下図③)

    1.  さらに、ミシンの右側面にあるスリッドの隙間から六角レンチを差し込み、ネジを外します。回す方向は、反時計回りです。かなり固いネジです。このため、六角レンチのサイズがピッタリ合っていなければねじ山を壊してしまいます。

    1.  これで、上部と右側のフタが外れます。

  1.  後は、新しいベルトを装着して、元通りにネジを締めていきます。

無事に動くようになりました。めでたしめでたし。

なんて、それは嘘です。実はもう一つトラブルが発生しました。

モーターベルトを取り替えても動かない!

管理人は切れたモーターベルトを糸でつないでセットし、正常に作動することを確認していました。それは直ぐに切れてしまいましたが。

このため、モーターベルトを新品に交換すれば、修理が完了すると考えていました。ところが、動かない。

針は1秒くらい動くのですが、直ぐに止まってしまいます。まるで何かに引っかかっている感じです。

結論を書くと、上部右端にある「糸巻き軸」の位置が原因でした。この「糸巻き軸」は可動式で、ある位置にセットされると針が動かなくなります。これをカチャッとスライドさせたら、動くようになりました。この原因を調べるのに五日もかかりました。

やっと動くようになりました。うれしー!

簡単に書かれていることと簡単にできるかは別物

今回、修理の手順を具体的に紹介しました。ネットで探してもこのような情報はありません。とても断片的なものは見つかるのですが、もともと、情報を発信している人は、読み手がどんな情報を必要としているのかには無頓着のようです。

手順を簡単に書いていますが、ここに至るには紆余曲折を経てたどり着きました。

まず、モーターベルトの規格が分からないので、ジャノメミシン用モーターベルトと書かれている商品をネットで購入しました。ところが、歯のピッチが合わず、ひとサイズ上の長さを買ったにもかかわらず、とてもキツい。

はまることははまったのですが、このままではプーリーの軸が折れてしまうのではないかと思うほどベルトがキツい。

しかたなく、ベルトを切断しました。

ベルトの型番はメーカーに問い合わせるしかありません。ネットで適当に購入しても使い物にならない。

ミシンの分解の動画がアップされていました。それはまさに、ミシンのオーバーホール。バラバラに分解します。でも、素人は分解できても組み立て直すことが難しい。ネジのサイズも形状も異なります。

管理人がミシンを適当に分解していたら、組み立てたとき、ネジが一本余ってしまいました。これはどこのネジなのか、いまでも分かりません。分解工程を一つ一つ写真に撮るのですが、後になって確認したい必要な部分が写真に写っていない、ということもしばしば起きます。

このため、最小限の分解で済むように、具体的にどのネジをどうやって外すのかを説明しました。

上の説明ではとてもシンプルに書いていますが、実際に作業をすると、予期せぬトラブルに見舞われます。

ミシンの修理など、もうやりたくない。

このミシンは発売当時はとても高性能で高価な物でした。しかし、現在では1万円程度でオークションで売られています。動かなくなったからと手放されたり、廃棄処分にされたりするミシンの中には、今回のようにモーターベルトが切れただけ、というケースもあるでしょう。そのようなケースで今回の記事がお役に立てれば幸いです。

ミシンを購入した人にとって、思い入れがあるかも知れません。千円以下のコストで簡単に修理できるのであれば、それに越したことはありません。