メディアのアンケート調査結果っていくらでも改ざんできるように報じているらしい

 安部元総理の国葬の是非について、メディアはさまざまな報道をしていました。中には、アンケート調査結果として、いくつかの怪しいデータを示しているメディアもありました。

 それらのメディアに共通しているのは、アンケート実施方法を隠蔽していることです。

 いつ、どのような方法で、誰を対象に、どの組織が実際にアンケート調査を行ったのか。こんな基本的な情報さえ示さずに、国民の多くは反対している、などの記事を配信していました。

 アンケート調査を実施して、その結果が国民の意見を代表していると主張したいのであれば、サンプル数を明示する、調査方法を明示する、調査実施者を明示する、ということが最低限のルールでしょう。

 この基本的な情報さえ示さずに「アンケート調査では」 ⇒ 「国民が反対している」という主張は何の意味もありません。ましてや、○パーセント支持率が変化したなどの主張は、漫才のレベルです。○パーセントの意味を国民は知らない。得体の知れない数値をもって主張するメディアの姿勢にはうんざりします。

 その得体の知れない数値を使った報道を引用して、持論を展開するお気軽政治家が複数するのに驚きます。

 現在のメディアの報道姿勢ではアンケート結果をいくらでも改ざんできます。国民は、その調査過程を何も知らないのです。

 実は、このように感じたのは、下のグラフを見たからです。GMOが行っている「みんなのしつもん」の事例です。

 グラフは、「アンケートに掲載されている内容の無断転載、画像及びテキストの無断コピー・転用を禁じます。」という条項があるので削除します。

 内容は、質問と結果のグラフが表示されている画像です。

  このグラフは、あるポイント獲得サイトで表示されたアンケート結果の速報値です。アンケートに回答すると、その時点の結果の速報値がグラフで表示されます。そして、アンケートの最終結果は、「みんなのしつもんアーカイブ by GMO」で閲覧できます。そこには、回答者数についても明示されています。

 メディアのアンケート結果と大きく違うのは、このポイント獲得サイトのアンケートは、まるで選挙速報のように、アンケートに回答した時点の速報がグラフに表示される点です。つまり、アンケート回答者に結果を速報で伝えているということです。

 メディアのアンケートに協力した人たちは、その結果をいつ知るのでしょうか。たぶん、永久に知ることはありません。改ざんが行われるからです。

 この違いが分かりますか?

 メディアのアンケート結果は、まさに結果しか表示しません。いくらでも改ざん可能です。しかし、ポイント獲得サイトのように、回答者に速報を伝える方式では、結果の改ざんはほぼ不可能でしょう。それをモニターしている人がいるからです。

 どこの会社が調査を実施したかという情報も重要です。いかさま調査を行う会社を調べることができるからです。

 アンケートほど結果を恣意的に誘導できる手法はありません。結果ありきのアンケートを作りたいのであれば、目指す答えを得やすいように設問を設定し、アンケートの対象者を目指す答えが得られる階層(年齢・職種・所得など)に絞り込み、アンケートを実施。主催者の思いのままの調査結果を得ることができます

 アンケートの実施方法については紙面の都合で割愛した、などの主張は、今の世の中、通用しません。いくらでもHPで詳細な情報を配信できるからです。詳細と言ってもA4で1/4ページで収まる程度のわずかな情報に過ぎません。アンケートの調査方法をHPで公開すればよいだけのこと。

 ところが、どのメディアもそれをやりません。その理由は、アンケートの調査手法に問題があることを知っているからです。統計専門家に指摘されると謝るしかない。だから、アンケート調査方法は公開できない。結局、イカサマだからです。

 アンケートを採るのは簡単ですが、その結果が国民の意見を反映していると主張するのは、とても難しい。アンケート調査請負会社も、「今回の調査ではそんな主張はできません」、と言っているはずです。しかし、それでは記事にならないので、フェイク記事を書くことになります。アンケートは実施しているし、その結果に基づいた記事。何が悪い、と言いたいのでしょう。

 管理人から観たら、そのメディアそのものの存続の危機と映るのですが。

 アンケート結果が有効だと主張するには、母集団の推定とサンプル数、さらに、サンプル対象者の抽出方法、質問設定の妥当性が問題となります。

 たとえば、固定電話でランダムに調査。まったくはた迷惑な手法です。そもそも、固定電話を契約している社会階層はとても限定されています。そんな調査手法で国民の意見と主張されても困ります。

 ネットで調査。この方法ではネットにアクセスしていない階層が全て除外されます。こんな稚拙な手法のアンケート結果に基づいて国民の意見はこうだ! と主張されても迷惑です。明らかに、フェイク報道です。

 メディアがアンケート調査を実施し、その結果を公表する場合、ネットを使うのであれば、瞬間結果の公表を義務づける必要性を感じます。これにより、結果のどんでん返し、つまり、恣意的な結果の改ざんは起きにくくなると思います。これはまさに、GMOのアンケートで採っている手法です。

 GMOの手法の優れている点は、いい加減に答える人の割合が減ると考えられることです。回答時点の他者・みんなの意見を知ることができれば、いい加減な回答をする人は激減すると思います。アンケートの回答が1票になる。だから、皆、真剣に回答するでしょう。

ポイントサイトのアンケートの結果はほとんど価値がないものです。わずか0.1円の報酬のために20回以上もクリックさせるアンケートなど誰も興味ありません。質問も読まずにデタラメにクリックしているだけです。

 たとえば、次の結果をご覧下さい。(2022/10/17 20:46 時点の瞬間値)

 「指折り数を数えるとき最初に数える指は?」というシンプルな質問です。

 速報値では、親指 72.7%、人差し指 11.2%、小指 5.9%、中指 5.2%、薬指 5% となっています。

 ここで注目するのが、「小指」と答えている人が5.9%いることです。人間の手の構造上、小指から順に指を折り曲げていく動作はとても難しい。管理人は左手ではできますが、右手ではとても無理。

 このことから、5.9%の人は、真面目に質問に答えていないことが分かります。

 (転用を禁止する条項があったので画像は削除しました)

  設問を見ると、その理由が分かります。「小指」が選択肢の最初になっています。「小指」「薬指」「中指」「人差し指」「親指」の順になっています。

 次に、あり得ないのが「薬指」や「中指」。小指以上にあり得ない。「人差し指」も外国ではありそうですが、日本ではまずないでしょう。つまり、このアンケートから、親指以外を選んだ「27.3%」の回答者がデタラメを回答していることが分かります。質問も読まずに適当に回答しているのです。

 この質問は、選択肢に「小指」を最初に持ってくるなど、とてもよく設計されています。運営会社の計測用の質問なのかも知れませんね。

 このように、質問がどのように行われたのか見なければ、公平なアンケートなのかも分からないのです。内閣の支持率が何パーセント変化したと記事にしたいのであれば、質問票を開示すべきです。それをしないのであれば、アンケート調査結果などメディアの自作自演と捉えるのが妥当だと思います。