写真に写ると手が大きくなるらしい:明治の女性が信じた迷信がカワイイ

はじめに

写真に写ると手が大きくなるようです。自撮り写真をたくさん撮影している女性は要注意です。そのうちグローブのような手になる恐れがあります。

何を根拠にそんな馬鹿げたことを言うの? そう思いますよね。これは管理人が言ったのではありません。明治時代の女性たちが信じていた迷信です。

幕末、明治維新に活躍した福井藩藩主松平春嶽。彼の4人の娘たちが以下の写真です。節子・里子・正子・千代子(1890年(明治23年)撮影)。

ここで気づくことは、この4人のお姫様たちは、全員手先を袖の中に隠していること。

それはなぜか?  写真に手が写ると大きくなると信じられていたからです。 

そんなの迷信だよ、と一笑に付すのは簡単ですが、その根拠は? と問われると誰もが納得できる説明ができない。迷信に対する反論に根拠を求められても困る。そう思ったあなた。それって、ステレオタイプの人間の特徴ですね。

ちなみに、左手先で最も有名な皇女和宮。彼女の左手先は生まれつきなかったとか箱根で暴漢に襲われ切り落とされたという都市伝説がいろいろな小説に書かれていますが、書いている人たちは、お姫様たちがなぜ手先を隠して写真撮影しているのか知らない人たちのようです(笑)。

和宮の左手にまつわる謎の詳細は、『皇女和宮の埋葬のナゾに迫る』に詳しく書いています。関心のある方はご覧下さい。

下の画像のように、写真にたくさん撮られると、いつのまにか手が大きくなっているかも。

写真に写ると手が大きくなるって本当だろうか

何事も確認してみなければ真実とは言えません。迷信と主張したいのであれば、その根拠を示す必要があります。

「写真に写ると手が大きくなる」という明治初期・中期の噂は、本当に迷信、フェイクだったのでしょうか。写真に写ると魂を抜かれ早死にする、という迷信があったとの話はよく聞きますが、手が大きくなるという迷信は現代のほとんどの人が知らないはずです。だから、お姫様たちの肖像写真で、なぜ手先を隠しているのか理解できない。

手が大きくても問題のない社会階層の女性たちは、当時の写真でも手を出しています。しかし、貴族階級の子女たちは皆、手先を隠しています。

当時のこのような習慣を無視し、和宮は手先がないから袖で隠している(肖像画にも描かれていない)と主張しているのが、和宮の左手欠損説を主張する人たちの言い分です。これについては過去記事に詳しく書いているので、関心のある方は和宮カテの過去記事をご覧下さい。

写真に写ると手が大きくなる。これが本当なのか確認してみましょう(笑)。こんなことをやるのは本サイトくらいでしょう。

確認の方法論とは

まず、世界で最も写真に撮られた人を検証対象とします。それって誰だか知っていますか?

“The most photographed person in the world.”

それは、ダイアナ元妃です。そう聞くと誰もが納得すると思います。

さて、ダイアナさんは、若い時と亡くなる直前では手の大きさに変化があったのでしょうか。

当然、結婚前のダイアナさん、亡くなる直前のダイアナ元妃の手のサイズなど測っている人はいないでしょう。

ということで、諦めます(笑)。

ダイアナ妃の写真は、本当に星の数ほどたくさんあるのですが、それらの写真からダイアナ妃の手が大きくなったかどうかを計測することができません。

写真はたくさんあるのになぜ計測できないのか。それは、カメラと手の距離、手と顔の距離を計測するのが困難だからです。

やろうと思えばできないことはないのですが、その結果は見えているので管理人はやりません。誤差をキャンセルできないからです。

ほんの数ミリの差を計測しようとするには、単純に、写真を比較するという方法を使うことはできません。顔の前で手を振るダイアナの写真はたくさんあります。しかし、それらは顔から何ミリ離れた位置にあるのでしょうか。この計測ができないのです。

ダイアナ妃の手のサイズに変化はあるのか

ここでダイアナ妃についてのおさらい。

ダイアナは、1961年7月1日に生まれ、1997年8月31日に亡くなっています。

ダイアナ妃の生涯(1961年7月1日 - 1997年8月31日)
出生 1961年7月1日
1981年7月29日 チャールズ王太子と結婚
1992年12月9日に夫妻が別居生活に入ることが正式に発表
在位 1981年7月29日 – 1996年8月28日
1996年2月28日にチャールズ皇太子との会見を終えたダイアナは離婚の合意に達したことを発表
1996年8月28日の離婚確定判決をもって正式にダイアナと皇太子の結婚生活は幕を閉じた。
死去 1997年8月31日(36歳没)
埋葬 1997年9月6日

ダイアナ妃の写真は無数にあるように感じます。gettyimagesの「ダイアナ妃」だけで25,475画像がヒットします。この他にも、他のサイトには、gettyimagesにはない写真もたくさんあります。たぶん、10万枚以上あるのではないでしょうか。

ダイアナの写真を探していると、気持ちが沈んできます。当時はあんなに輝いていたイギリス王妃が離婚の末、事故で亡くなる。見るのがとてもつらくなります。

それはひとまず置いといて、ここでは、ダイアナの手のサイズの検証をします。

明治の都市伝説は本当なのか、はたまた単なる迷信だったのか。

その答えがこれです。

左端が1982年5月15日撮影のもの。結婚の翌年の写真です。真ん中が1983年2月1日撮影のもの。結婚後1年半後のダイアナです。そして、右端が1992年4月28日のダイアナです。

手のサイズを比較するには、対象物がないと無理。そこで顔を使います。顔のサイズは変化しないので、 顔に接している手 であれば、サイズの相対変化を知ることができます。

ここで、相対変化とは? 今回の検証は、写真を撮られることで手のサイズが大きくなるかどうかを知りたいだけなので、手の大きさが何センチかは問題にしません。以前の写真より大きいか同じかを比較するだけで検証可能です。

その結果が上の写真です。

管理人としては定規ソフトと三平方の定理より手のサイズの比較を厳密に行ったつもりです。

しかし、結果は意外なものでした。

「写真をたくさん撮られると手が小さくなる!」という逆の検証結果となりました。

検証は、条件が比較しやすい左と真ん中の写真を使っています。写真のサイズ合わせはほぼ完璧。二枚の画像を重ね合わせ、目鼻口などの位置を調整してサイズを同じにしています。

しかしながら、検証結果は、管理人が予想していないものとなりました。

あなたはこの検証結果をどのように考えますか?

日本人の手の寸法なら分かるらしい

手の寸法なんて人それぞれ。年齢や性別によっても違う。

ところが、これを調べてデータベース化しているらしい。

「日本人の手の寸法データベース2010」データの概要』というページを見つけました。一般社団法人 人間生活工学研究センターという所が公表しています。具体的な寸法は「こちら」にあります。

もしかしたら、何かの機会にこのデータを使うかも知れません。

おわりに

早いもので、ダイアナさんが亡くなってから今日で、23年5ヵ月8日経ちます。

平成生まれの人たちは、ダイアナさんのことを記録映像でしか見たことがないと思います。

ダイアナさんを死に追いやったのは、イギリスのメディアです。世界中のたくさんの人の心の支えとなったダイアナさんでしたが、彼女の苦悩を理解し、彼女を励ますという意識に欠けていたのがイギリスの人たちのようです。

日本のマスコミは、悲しい前科があるので、皇室の批判はあまりしなくなりました。ただ、最近は、それを知らないアクセス数稼ぎの無秩序なネットメディアが、金儲けのために劣悪な記事を配信しています。彼らは本当に知らないのでしょうね。やってはいけないことを。

上皇后美智子様が御言葉を失われた時、国民は悲しみました。その原因があるマスコミの報道だと分かると、国民の怒りはマスコミの報道姿勢に集中しました。

平成生まれの人たちは知らないことですが。