今日は、世にも珍しい「音だけミステリー」をお届けします。
二日ほど前、台所で料理を作っていたら、テレビの音が聞こえてきました。
横溝正史の金田一耕助のドラマのようです。妻はこの番組が好きなようですが、管理人は関心がないので見たことがありません。
後で調べてみると、2021年2月2日、BSプレミアムで放映された『シリーズ横溝正史短編集II金田一耕助踊る!▽貸しボート十三号』でした。
聞こえてきたテレビの音声で奇妙な言葉をキャッチしました。それが、「オショクジケン」というナレーションの言葉です。
あれ? 金田一耕助の番組なのにどうして「お食事券」の話がでているのだろう? ドラマには関心がないのですが、金田一にお食事券というキャッチーな言葉が耳についたので、耳をそばだてていました。すると、ナレーターが再び「お食事券」と言っている声が聞こえました。間違いなく、「お食事券」と言っています。
コロナの世情を反映して、「Go To Eat」関連で「お食事券」の話題をドラマのストーリーに取り入れたのかとも考えましたがとても不思議。
気になったので、テレビを見ることに。すると、金田一役の池松壮亮さんも「お食事券」と言っています。これには、家族で爆笑しました。
もうおわかりでしょう。「お食事券」ではなく、「汚職事件」が正解です。
なぜ、「オショクジケン」の発音が「お食事券」に聞こえたのか。
「お食事券」と「汚職事件」は通常聞き分けることができます。イントネーションが違うからです。では、今回、なぜ、「汚職事件」ではなく「お食事券」と聞こえたのでしょうか。
それは、ナレーション担当の石橋静河さんが、ドラマの雰囲気に合わせて平坦な読み方で発音したためです。劇中、主人公金田一耕助役の池松壮亮さんも感情を入れずに平坦な話し方をしています。
すると、「汚職事件」が「お食事券」に聞こえるから不思議です。
石橋静河さんや池松壮亮の発音が訛っているからかも、と考えたのですが、石橋静河の母親は女優の原田美枝子さんで、東京出身です。訛っている分けではない。
この現象は、金田一探偵のドラマだけで起きるのではないでしょうか。他の刑事ドラマを見ても「お食事券」と聞き間違えることはないと思います。
おどろおどろしい横溝正史のドラマのナレーション。そして、淡々と話す金田一のキャラだからこそ生じる聞き間違いのミステリー。
その晩は、ドラマのストーリーよりもこの話題で盛り上がりました。