ネットニュースで「SNS流行語大賞」の記事が配信されています。
管理人がいつも疑問に感じていたのが、この「SNS」という言葉です。これって何?
SNSって何?
SNSがソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、日本語で「会員制交流サイト」であることは簡単に分かります。そして、その代表的なものがTwitterやFacebook、Instagram、さらには、LINEやYoutubeもSNSに含まれるようです。SNSにLINEやYoutubeは含まれないと考える人もいるようですが・・・。
Twitter、Facebook、LINE、Instagram、Youtube、Youtube、TikTok、Pococha、ヤフー知恵袋の九つが日本では主流のようです。
SNS流行語大賞って何?
さて、今日の本題、「SNS流行語大賞って何か?」ということです。たくさんあるSNSを虱潰しに調べて流行語大賞を決めるのでしょうか?
調べてみると、全く違いました。2022年度SNS流行語大賞は、Twitter上で2022年頻繁に使用されたフレーズを調査して決めるのだそうです。これって、「SNS」ではなく、「Twitter流行語大賞」のことですね。Twitter以外のSNSが除外されているのに「SNS流行語大賞」と命名した理由は何なのでしょうか。
この企画は、イー・ガーディアン株式会社(E-Guardian)というネットセキュリティ関連の企業が行い公表しているもので、2022年11月14日、イー・ガーディアン株式会社がプレスリリースしたものをPR TIMES という会社が配信しています。それを受けて、各WEBニュースメディアが記事を配信しています。
このニュースメディアの配信のやり方により、メディアの倫理性が浮き彫りになるから面白い。
イー・ガーディアン株式会社はプレスリリースするにあたり、Twitter上の情報だけを使っていると書いています。ところが、ニュースメディアによっては、このTwitterという部分を書かずに、SNS上で今年バズッた流行語ワード、などと記事のねつ造をします。倫理観のない人たちのいるメディアなのだと分かります。
プレスリリースのタイトルは、『【イー・ガーディアン株式会社】「SNS流行語大賞2022」、ノミネート発表!』。ノミネートされたのは30のワードです。
① うまい棒
② ○○って○○あんねん
③ ミャクミャク様
④ ジブリパーク
⑤ #ちむどんどん
⑥ #silent
⑦ サイゼ論争2022
⑧ #全部大泉のせい(鎌倉殿の13人)
⑨ #多分私しかやってない
⑩ ○○ってコト!?
⑪ 伊之助ボディ
⑫ ギャルピース
⑬ 落ち着いて聞いてください
⑭ #あれ実は私なんです
⑮ ニャオハ立つな
⑯ 紙ストロー
⑰ ファミチキへの怒り
⑱ これでお前とも縁ができた
⑲ わかんないッピ
⑳ ○○、私の好きな言葉です
㉑ AI絵師
㉒ 平成レトロ
㉓ ぐんぐんグルトを買えない人
㉔ 冨樫先生
㉕ 世界からのサプライズ
㉖ 粗品の呪い
㉗ アーニャ語
㉘ おハーブですわ
㉙ タコさんウィンナー
㉚ おしゃべりひろゆきメーカー
(この並び順は、プレスリリースされた表を横に読んで並べたものですが、この表は左上から縦に読むのが正解かも。)
なぜ、Twitterだけ調べてSNS流行語大賞として公表しているのか分かりませんが、Twitterを調査対象にしている理由は、統計データが得やすいからなのでしょう。
本来の意味で「SNS流行語大賞」を調べようとすると、SNS毎にデータ解析の方法が異なるため、とても難しそうです。
ところで、ウェブ解析士協会 WACAが公開している「SNS流行語大賞」があるのをご存じでしょうか?
ウェブ解析士協会 WACAの「SNS流行語大賞」
一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)という団体が「SNS流行語大賞」を公表しています。
この団体の選定方法は、SNS上で流行した言葉のランキングをSNSマネージャー流行語ランキング委員会が選定するというもの。協会が認定した「ウェッブ解析士」のSNSマネージャーにアンケートを行い、それを集計しているようです。年に何回か公表しています。
「SNS流行語大賞、2022年9月度の発表! 3位は世界猫の日、2位はスプラ休暇、スプラトゥーン3。1位は?」、2022年10月14日
SNSで最近流行った言葉は?
2022年7〜9月にSNS上で流行した言葉のランキングをSNSマネージャー流行語ランキング委員会が選定しました。
SNSマネージャーは日頃からSNSのトレンドに目を配り、企業や組織のSNSアカウント運用に携わる専門家。SNSマネージャーへのアンケートを集計し選んだ、2022年7〜9月の流行語トップ10をお知らせします。
TwitterやInstagram、TikTok、YouTubeなどのSNSメディアを対象に、直近3カ月で流行している言葉を選定し、SNSマネージャー有資格者への調査に基づきランキングを作成しています。
第1位 ジャンボリミッキー!
WACA、2022年10月14日
第2位 スプラ休暇、スプラ3、トリカラ
第3位 世界猫の日
第4位 BLACKPINK
第5位 コミケ、C100
第6位 iPhone14 / iOS16
第7位 追いトップガン
第8位 AI画像生成、Figma
第9位 SixTONES、SixTONESANN、北斗くん
第10位 チグハグ
「SNS流行語大賞、2022年6月度の発表! 3位はLE_SSERAFIM、2位はおとせサンダー。1位は?」、2022年7月5日
SNSで最近はやった言葉は? 2022年4〜6月にSNS上で流行した言葉のランキングをSNSマネージャー流行語ランキング委員会が選定しました。
第1位 ヤクルト1000
WACA、2022年7月5日
第2位 おとせサンダー(イナズマ)
第3位 LE_SSERAFIM
第4位 姫カット、#himecut
第5位 オオタニサン
第6位 YouTubeショート
第7位 きつねダンス、#キツネダンス
第8位 冨樫義博Twitter
第9位 SPY×FAMILY
第10位 ギャルピース、ギャルピ
結局、SNS流行語大賞って何なのかが分からない
イー・ガーディアン株式会社の大賞は、SNSとは名ばかりのTwitter流行語大賞ですし、一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)の大賞は、アンケートという手法が採られる時点で、統計的なデータではないようです。
本来、「SNS流行語大賞」と名付けた企画をするのであれば、日本で使われている主要9社のソーシャルネットワーキングサービスを網羅的に調べ、その中で、頻繁に使われたフレーズをAIを使って選び出し、その頻度により大賞が決まる。
たぶん、一般の人が考えるイメージがこれでしょう。でも、実際は違います。
そうなると、本当の「SNS流行語大賞」は何なのかが気になります。何なのでしょう?
最近のメディアはSNSを出典としているが、それは出典を示さないのと同じこと
今回の記事を書くきっかけとなったのは、SNSって何なのだろうという素朴な疑問でした。メディアのWEBニュースにも出典としてSNSをあげているものが無数にあります。ところが、そのSNSが何なのかが分からないと出典にたどり着くことができません。結局、メディアは、出典を示している振りをしながら、実際には出典が分からないようにしている。
「SNS流行語大賞」なら、SNSのことをしっかり説明していると思いきや、中身がボロボロ。看板倒れの実態が分かりました。
AIを使って本格的に分析している組織は存在しないのでしょうか。
全SNSの全ログAI解析:NHKならやれるかも?
2020年11月8日、「NHKスペシャル 新型コロナ 全論文解読~AIで迫る 今知りたいこと~」という番組が放映されました。NHKはAIで新型コロナに関する20万本以上の論文を解読し、冬が迫る中、何が注目を集め、世界でどのような研究が行われているのかを探った。という内容の番組です。
全世界で発表された、新型コロナウイルスに関する論文は20万本以上。その論文の「すべての文字情報」をAI(人工知能)に読み込ませ、どのような言葉がよく使われているか、どの論文がどの論文と関係しているのかなどを分析し、注目すべき研究やキーワードを抽出。さらにAIが選んだ「新型コロナ研究でトップを走る研究者たち」の見解を交え、新型コロナウイルスに関する気になる疑問に迫る。
NHKホームページ
これと同じ手法でレオナルド・ダ・ヴィンチの手記を全文解析した番組もありました。1)
どのようなワードが頻繁に使われ、ワードの使用頻度から関連性を見つけたりするのはAIが得意とする分野でしょう。
今回紹介した「SNS流行語大賞」は、企画者側の意図がいくらでも入り込む余地のある手法が使われており、そこで示されているリストについて管理人は全く関心がありません。まるで、昭和のレコード大賞を見ているようで、違和感を感じます。
NHKの番組で、新型コロナでは20万以上の論文をAIに読み込ませるという作業が必要でしたが、SNSについて分析しようとすると、桁違いの大量のデータを読み込ませる必要があることでしょう。でも、その結果を知りたい。SNSの世界がどうなっているのか、その相関図も見てみたいものです。NHKがそんな番組を作ってくれるとうれしいのですが。
Twitterのまとめを行っている「togetter」の記事を見ていると奇妙なことに気づきます。それは、掲載されている記事が特異な体験談なのに、user数が異常に多いこと。つまり、そんな記事ばかり作文しているサイトだと推測できます。むしろ、user数がほとんどなく、たまたまバズった記事の方が読む価値がありそうです。作文記事ではない本当の情報が得られそうです。
Twitterのまとめサイトも信用できない。SNS流行語大賞を企画する会社も信用できない。
結局、SNSの情報は信頼できない。だからこそ、NHKによるAI解析番組を期待しています。
参照:
1) 「NHKスペシャル ダビンチ・ミステリー 第2集「“万能の天才”の謎~最新AIが明かす実像~」、2019年11月17日放送