ライドシェアって何? 政治家もメディアもいい加減

「ライドシェア」が話題だけれど、どのメディアもいい加減!

 ライドシェアが話題になっています。ところで、メディアが決して話題にしないのは、二種免許の話。

 一般車両で人を運び、対価を取ると「白タク」として罰せられます。メディアの記述は「罰せられる恐れがある」となっています。メディアのライターは、法律を確認していないから、いつでも逃げられる記述にするといういつもの魂胆が見え見えです。

 「罰せられる」と「罰せられる恐れがある」とでは意味が全く異なります。前者は、法律的に違法だと主張していますが、後者は、「法律の解釈に幅があり、罰せられないことも多々ある」という理解なのでしょう。でも、本当にそうなの?

 ライドシェアの記事を読むと、全く意味不明の記述になっています。

 まず、それが普及している国に、「米国や中国」という記述をしているメディアがいます。人の命の価値が異なる二つの国を例としてあげるのは、問題意識が欠如していると批判されても仕方がありません。

 問題は、「中国」で取り入れられているから、日本もこの方式を取り入れるべきだ、と本気でメディアが考えているのか、という点です。違うというのなら、なぜ、事例として「中国」を取り上げたのか、その趣旨を問いたい。

 管理人がワシントンに行った時、タクシーに乗ったら、あちこちで客を拾うのに驚いた記憶があります。はっきり言って、怖いです! 途中で乗ってきた大きな黒人に恐怖感を抱きました。黒人だから恐怖を感じたわけではなく、誰か知らない人と強制的に相席されられてしまうと言う恐怖です。

 ボリビアでは、こんなことを運転手にさせてはいけません。乗り込んできた複数の客が犯罪者の集団である事例があるからです。運転手も一味の可能性もあります。

 一度、車に乗ったら、そこは外界から閉ざされた空間です。連日のように、メディアは性犯罪を記事にしていますが、不思議なことに、「ライドシェア」の記事では、全く違った基準を使います。それが、ドライバーの不足! 

ドライバーが不足しているのは、正当な賃金が支払われていないから

 「ライドシェア」の推進が求められる理由のひとつとして、タクシードライバーの減少を挙げるのがメディアの常套手段です。でも、これって変ですよね。本来、メディアは、「なぜ、タクシードライバーが減少しているのか」を問題視すべきなのに、その問題点を一切指摘することなく、政治家の話の乗っかった報道をしています。

 タクシードライバーの数が減っているのは、儲からないからです。もし、数年、タクシードライバーをやればマンションが買える、という収入が得られれば、我も我もとタクシードライバーになるはずです。結局、現在の状況では、タクシードライバーという職は、決して良い職業ではないと言うことです。

 じゃあ、タクシー料金を値上げすれば良いのか。その増収分は、会社の儲けになるだけで、ドライバーに還元されることはないでしょう。他の3Kの職種と横並びで給料が決められるからです。経営者がドライバーの給与を上げるはずもありません。儲けるためには、ドライバーの給与を抑える必要があります。

二種免許は何のため?

 「ライドシェア」の議論で重要なのは、「なぜ、二種免許が必要なのか」という議論に波及するということです。乗客の安心・安全をモットーに制度を積み重ねてきた国土交通省としては、「ライドシェア」などあり得ない、という気持ちでしょうが、一部の政治家が、調子に乗って「ライドシェア」などの推進を提唱している。本来なら、この問題を真っ先に指摘すべきメディアが全く機能しておらず、迎合している。というか、5分で書けるライターの記事をそのまま垂れ流しています。

 どこかの地方行政府の長は、「ライドシェア」で発生する問題を施行しながら解決していき、それを全国に広めると考えているようですが、この制度で犯罪・事故に遭遇した人は「お気の毒様」という考えなのかと感じます。 

 

落としどころは?

 一部の過疎地域では、特例として、ライドシェアが認められていますが、実際には、既存の法律の枠内の特例なので、さまざまな制限があります。5分ライターは知らないかこれを隠して書いています。

 メディアの論調は、ライドシェアで誰でも簡単にドライバーになれるような幻想のもとに記事が書かれていますが、そんなことを国土交通省が認めるはずもなく、市町村や特定非営利活動法人が特定事業者として登録する必要があり、ドライバーが酒気帯びでないか、健康状態はどうかなど確認したする必要があります。運転者は二種免許または大臣認定講習を必要とします。

 結局、ドライバーは、どこかの団体に所属して二種免許も必要。メディアが盛んに報じている内容とは根本的に違います。

 メディアの報道ぶりは、ドライバー不足 ⇒ 外国人が困る ⇒ 中国でもやっている ⇒ ライドシェアは世界の趨勢でインバウンド対策やドライバー不足の解消になる・・・、かのようなデタラメな報じ方をしています。

 なんてお花畑の住民なのかと呆れてしまいます。

 国土交通省が、(対価を取って)他人を乗せる車のドライバーに対し、二種免許が不要とする筈がありません。事故やトラブル解決の主体になる特定事業者も必須でしょう。

 メディアの報じ方は、国民をミスリードします。誰でも白タクドライバーになれるかのような幻想を抱かせるフェイク記事を流していると言えます。なぜ、今の制度になっているのかを一切報じずに、規制緩和が必要だとする論調は、恥ずべきでしょう。

まとめ

  「ライドシェア」のリスクをまとめると、次のようになると考えます。

1. 乗客が性犯罪、強盗などの被害にあわないための仕組みをどうするか?

2. 二種免許の位置づけとその存在意義 ⇒ 不要ということか? 何のために存在したのか?

3. 事故が起きた場合の補償をどうするのか(どの保険に加入しているのか) ⇒ 保険関連

4. ドライバー不足は、待遇の問題。それを無視した施策は問題外。

 ざっとまとめるとこんな感じでしょうか。

 マイナンバー制度にしろ、「ライドシェア」にしろ、官庁の判断を無視して政治家が動くとこんなことになる、という良い事例かも知れません。

 管理人としては、もっとメディアが問題点を主張すべきだと思います。いつものように、「後出しじゃんけん」ばかりやっていると、視聴者から敬遠されてしまいます。

 5分ライターを雇用するメディアは、「ライドシェア」が外国で普及しており、なぜ、日本で普及しないのか? ドライバーも不足しているし、「ライドシェア」を進めるべき、という5分で書ける記事を配信しています。その主張には、リスクについての分析の痕跡は一切見られません。

 外国人観光客のために国の制度を変えるなど本末転倒でしょう。タクシードライバーが不足しているのなら、二種免許などやめて、経験年数と講習だけでだれでもタクシードライバーになれるようにするとか、ドライバーの給与が二倍になるように、税制措置(車両に関わるさまざまな税金を免除し、その同額をドライバーの給料に補填する、など)を施すとか、やることはいくらでもあります。

 ライドシェアは、過疎地域には必要な制度です。これを観光目的にまで拡大すると、必ず別の問題が発生します。さまざまな犯罪が発生することは容易に想像できます。

 運転代行でお客さんの車を運転するのにも二種免許が必要です。何のために二種免許が必要とされたのでしょうか。タクシーの事故が少ないのには理由があります。たくさんの犯罪・事故を経て積み重ねられてきたのが今の制度なのでしょう。中国など他国では導入しているからとか、インバウンドで来日客が困らないようにだとか、ライドシェアについてのニュース記事は明らかに上滑りしています。

 だから、5分で書ける記事と表現しています。