“実は今、日本の医薬品流通が壊滅しかけているという話”という記事がTwitterで人気のようだけど、

 ツイッターで『実は今、日本の医薬品流通が壊滅しかけているという話』という記事が話題のようなので、別の視点から考えてみました。

 ツイッターでは、ジェネリックと「小林化工」が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入した問題を取り上げているようですが、管理人は、そもそも論を考えてみたいと思います。

 管理人の家の近くには、独立行政法人国立病院機構の某病院があります。徒歩、数分の近さです。

 ところが、この病院を受診するには紹介状が必要だったり、高度医療の特別料金を支払う必要があります。息子が旅先で足を怪我して帰宅。その抜糸のために、この病院に行ったら、受診拒否されました。近くの町医者に行って下さいとのこと。

 自宅から最も近いのがこの病院。近くの町医者はとても遠くにあります。しかも、家の近くにはタクシーが来てくれない。

 足を怪我した人が最寄りの病院に行くことができないという現実があります。

薬局が密集して立地しているのに24時間営業している薬局はほぼゼロ

 息子が夜中に歯が痛いと苦しんでいました。たまたま、家の薬箱には痛み止めがなく、薬局をネットで探したのですが、24時間営業している薬局が見つからない。

 歌舞伎町にはあるらしいのですが、ちょっと遠すぎます。しかたなく、息子は薬なしで痛みを耐えることになりました。(後で分かったのですが、自転車で15分程度の所に24時間開いている薬局がありました。しかし、肝心な時に見つからなければ後の祭りです。)

 外国暮らしが長かった管理人には、この日本の状況が異様に感じます。

 直近の赴任した2カ国には、24時間開いている薬局がありました。コンビニは24時間開いていなくとも、薬局は開いているのです。

 上述の大病院の入口周辺には、4軒の薬局が軒を連ねて営業しています。しかし、営業時間は午後六時まで。深夜営業はしていません。

 ここで、疑問に感じます。なぜ、薬局が4軒も軒を連らねて営業していてつぶれないのか。そんなに儲かっているのか。

 なぜ、24時間営業の薬局がないのか。外国では普通なのに、なぜ日本ではないのか。

 多くの人が疑問に思うこと? もしかしたら、何の疑問の感じていなかった?

 昔はなかった大きな薬局が出現してしばらく経ちます。しかし、これらの薬局の営業時間は24時間ではありません。

 薬局という業種は、大病院の門前薬局といわれるように「おいしい業種」のようです。

 それもそのはず、市販薬は3割引が当たり前で、薬の種類によっては6割引の薬も販売している直販業者もいます。つまり、それだけの利ざやがあるということです。薬局では通常値引きはしないので、定価販売で巨額の収益を得ることができる。それが、薬局乱立の理由でしょう。

 次に、なぜ、24時間営業の薬局がほとんど皆無なのかという問題。

 過去記事で書いたことですが、以前管理人が勤務していたボリビア・スクレに息子たちが遊びに来たことがありました。息子の一人が、深夜に腹痛を起こし、病院に連れて行きました。病院の診断では、サルモネラ菌による食中毒と言うことで、薬を買ってくるように言われました。

 「えっ、こんな夜中に薬局なんて開いているの?」と思ったのですが、開いている薬局があり、無事、処方箋に書かれている薬を購入し病院に戻ることができました。

 この薬は、痛み止め入りの点滴で、点滴を始めると、息子は痛みが消えたことから眠りに落ちたようです。

 管理人はというと、寒い待合室で夜明けまでの数時間、過ごすことになりました。病院では薬を販売しておらず、それは患者が薬局で購入する。24時間開いている薬局があるのは当然です。「医薬分業」とはまさにこのことだと感じました。

 ところが、日本はまったく違います。患者のことなどお構いなしに、薬局が勝手に営業時間を決める。じゃあ、病院の夜間診療で薬が必要になったら日本ではどうするのか。実際には、病院が薬を持っています。

 結局は、日本では名ばかりの医薬分業ということです。だから、24時間営業の薬局を義務づける必要もない。

 ところが、ここに落とし穴があります。歯科についてはこれに該当しないのです。歯科の夜間緊急対応をしている病院は皆無でしょう。歯痛で死ぬことはない、というなんとも無慈悲な行政判断と感じます。夜間に歯の痛みで苦しみ抜いた人が恨みに思う制度です。

 コロナウイルス対策で、なぜ、日本が他の先進国より後れをとっているのか。それは、日本の医療システム全般の不健全な構造が原因となっているのでしょう。

 マスメディアはいつものようにピント外れの報道しかしません。報道メディアとしての資質に欠けているからです。

 「日本が勝った負けた」など、どうでもよいことに焦点を当てた記事を配信していることからも、資質のなさが窺えます。

 では、「日本が勝った」としたら、どうでしょう。それがまったく意味のないことは明らかです。グローバル社会の中で新型コロナウイルスに対して、勝った負けたの世界はありません。

 そんなことより、メディアとしてやるべき事は、他国と比べて奇妙な日本の医療制度、薬局制度の矛盾を指摘することです。

 資質に欠けているので、できるわけもありませんが(笑)。そんなメディアがやれることといったら、「後出しじゃんけん」くらいでしょう。その後出しじゃんけんに反応してコメントする政治家もいるのですから、世も末です。