新型コロナウイルス新規感染者激減の要因を分析してみる

 新型コロナウイルス新規感染者数が減少しています。しかも、減少の割合が半端ないほどの激減です。

 なぜ、こんな状況になったのでしょうか。

 どこかのメディアが、同じような記事タイトルでまったく役にも立たない情報を発信しています。

 誰か知らない専門家に聞いて、その人の言葉を記事にするだけ、というお粗末な内容。聞かれた専門家は、分析していないのだから分かりません、と答えればいいのに、(今回の状況の分析もせずに)一般常識の話をし出すから困ったものです。まったくのピントはずれのコメントです。

 「なぜ、新規感染者が劇的に、しかも、短期間で減少したのか」の原因を究明することはとても大切なことだと思います。次に来る第6波の対策にとても役立ちます。そして、これまでの(飲食店・観光業等に多大な迷惑をかける)対策が本当に有効だったのかを検証することも可能になります。

 それなのに、なぜ、新規感染者が急減したのか、それを追求する情報はまったく見かけません。一部のメディアは中身のないタイトル倒れの記事しか発信しません。あまりにもお粗末です。

 なぜ、こんな大切なことを皆で真剣に考えようとしないのでしょうか。

マインドマップを使って考えてみた

 誰もやらないので、新規感染者激減の要因分析をやってみました。excelで作ったマインドマップで、ざっくりと頭に浮かんだことを整理してみました。

 ポイントは「急激な減少」です。そこでは、ワクチン接種や三密の徹底などは除外されます。当たり前のことですが、こんなものは「急激な減少」の主要因にはなり得ません。解明したいことは、なぜ、減少したかではなく、「急激な減少」の理由を説明することにあります。

 管理人の頭に浮かんだ「急減」の要因は以下のようなものです。

  説明するより、図を見てもらった方がよいでしょう。管理人の頭の中はこんな感じです。

 実は、MP2.5が影響しているとすると、ほぼすべてうまく説明ができると考えました。日本全土・ほぼ同時期のピークアウトなどの規定要因をクリアできるからです。しかし、直近のPM2.5のデータが現時点で公表されておらず入手できません。使えるのは大阪のデータくらいです。これで分析してみたのですが、有意性を確認できませんでした。もし確認できたなら、浮遊生物質へのコロナウイルスの電気的付着と落下などの仮説を進めたかったのですが、とても残念です。

 マインドマップに関心を持たれた方は、サイト内検索で調べて下さい。Excelファイルを公開しています。

 新規感染者数激減の要因とは何なのでしょうか。何の役にも立たない政府批判や規制に対する不平不満を言う暇があるのなら、この問いの答えを探ることこそ、問題を解決する早道だと思います。

 みんなで考えれば、きっと要因が見つかります! それこそが日本人の知力の結集になると思います。がんばって考えましょう。

 「ゲノム変異、修復困難で死滅?」というフェイクニュースが流れています。

 「新型コロナウイルスの流行「第5波」の収束には、流行を引き起こしたデルタ株でゲノム(全遺伝情報)の変異を修復する酵素が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるとの研究結果を国立遺伝学研究所と新潟大のチームが30日までにまとめた。」(共同通信、2021.10.30)

 この記事について気になったので少し調べてみました。

 そもそも論を書きましょう。

  「ゲノム変異、修復困難で死滅?」 という記事にある学会っていつ開かれたもの?

 こんな基本的なことさえどのメディアも報じていません。

 これは、日本人類遺伝学会第66回大会、第28回日本遺伝子診療学会 合同開催(全日程 10月14日~16日)における二日目、2021年10月15日、「シンポジュウム13 virus genome vs host genome: SARS-Co-V2を中心として」で発表された内容で、論文もペーパーもないようです。開催場所はパシフィコ横浜 会議センター。

 このシンポジュウム13の座長を務められたのが、井ノ上 逸朗(国立遺伝学研究所人類遺伝研究室)、佐藤 万仁(国立成育医療研究センター ゲノム医療研究部)の先生方です。

 共同通信の記事配信の15日前のシンポジウムで発表された内容だったと言うことです。共同通信の日付についての歯切れの悪い書き方の理由はここにあるのでしょう。「研究結果を国立遺伝学研究所と新潟大のチームが30日までにまとめた。」とか、「研究は10月に開かれた日本人類遺伝学会で発表した。」とか、日付をぼかす書き方になっています。

 シンポでは井ノ上先生が「SARS-CoV-2変異、静岡県における感染ウイルスの変化、特徴」と題する発表を行ったようです。

 井ノ上先生の研究についてはメディアの記事程度しか知らないのでよく分かりません。コロナウイルス非構造タンパク質14(nsp14)に関わる遺伝子が変異し、遺伝子のコピーミスの修復機能が低下したのではないかと推測しているようですが、最近、新規感染者が急激に拡大しているシンガポールについては、これでは説明できません。シンガポールは、必要回数のワクチン接種が完了した割合が最も高い国の一つで、82.7%となっています。それなのに新規感染者数が爆発的に増加しています。

  ワクチン接種が完了した人の割合が79.83%のスペインでは、新規感染者数がかなり少なくなっているように見えますが、それでも、一日あたりの新規感染者は2000人以上です。

 シンポジュウムは全部で27も開催されており、メディアは当然、誰も聞いていない。配布資料も論文もない。人から聞いた話だけで書き上げた苦労の記事なのでしょう。

 日本のメディアの記事がお粗末なのは、この共同通信の記事からも確認できます。10月30日以前には同種の記事は一切ないのに、この日以降には、雨の後のタケノコのようにどのメディアも金太郎飴のような同じ内容を報じている。ほんの少し文言を変えただけで、コピーペして作文をしている実態があらわになっています。

  井ノ上先生の研究では、ゲノムRNAがそのままmRNAとなるコロナウイルス、つまり、小さなゲノムRNAでは、突然変異率が高く、その積み重ねによってゲノムサイズが大きくなり、ウイルスの適性が急速に低下した、と考えた方がよい気もします。nsp14に関わる遺伝子が変化したことを原因として挙げると、他国の事例と整合性がとれなくなるように思います。nsp14の変化は世界的レベルで確認されていることですが、外国では感染が拡大傾向にあり、日本の状況を説明できません。

 むしろ、日本のコロナウイルスだけ世代交代、変異が急速に進んだ結果、感染力を失うようになった、という推論の方が理解しやすい。では、変異を促進したものとは何か。 やはり、諸外国で感染拡大を招いたものとは型が違うコロナウイルスが日本で主流だった中で、感染力の強いG型、デルタ株が入ってきたというタイムラグが原因として疑われそうです。日本に入ってきたデルタ株コロナウイルスは、先住の弱毒性コロナウイルスに勝つために変異を繰り返したのではないか。

 また、 nsp14に関わる遺伝子が変異する過程で、宿主側の免疫機能が大きく関わっていると想定されます。

 単位人口あたりの感染者総数を見ると、感染しやすいのは首都圏。感染しにくいのは東北、日本海沿岸の県。人口が多い少ないは「単位人口あたり」で計算しているので、現在の人口が多い、少ないは関係ありません。しかし、データは人口の多い都道府県の単位人口感染者数が多いことを示しています。

 これはとても重要なデータだと思います。

 「人口が多いから、単位感染者リスクも高くなる」という仮説もありそうです。別な視点では、「縄文人の遺伝子を色濃く保持している県の感染者数は少ない」という仮説も成立しそうです。この仮説は、岩手県でなぜ、長期間、感染者ゼロを維持できたのかという、世界的な謎の解明につながる糸口になりそうです。

 「縄文人の遺伝子免疫コードが、新型コロナウイルスの複製を阻害するように働く」という仮説です。

 これを一笑に付すのは簡単ですが、その否定の根拠が、何ら対案も示さず教科書に書かれていないからとの主張ではお話になりません。きっと、家庭教師が教えてくれますよ(笑い)。

 ここまで書いて感じるのは、やはり、要因分析はとても有効だと言うことです。マインドマップは完成させる必要はありません。自分の頭の中の考えを一時的に形にしたものだからです。しかし、これがあると、どんどんアイディアが浮かんできます。マインドマップがあるので、ゼロから考え始める必要がないからです。

 人の主張がおかしい、対策のやり方がおかしい、と感じるのは小学生でもできること。そこから先が問題なのです。

 メディアのいい加減な報道にはうんざりしますが、では、メディアの情報がなかったら、あなたならどう考えるのか。メディアを批判しても何も変わりません。出典も示さない一つの説に固執するのはとても危険です。他の考え方はないのか? それをどうすれば否定でき、自分の支持する結論に導くことができるのか。

 こんな思考訓練が必要かも知れません。