外国人が生卵を食べられないのに日本だけ食べられる理由

 YouTubeを見ていたら、日本在住の外国人女性がすき焼きで生卵を食べられない、という動画がありました。外国人が生卵をなぜ食べないのか。知っていますか。そして、日本人だけが何の心配もせずに生卵を食べている不思議。

 管理人は、海外赴任中は、普通に生卵を食べていました。一度も食中毒にかかったことはありません。ただし、卵の表面はサルモネラ菌で汚染されていると考え、絶対に殻の表面と卵の中身が触れないように卵を割る必要があります。卵の表面はクチクラで覆われているので、細菌が卵の中に侵入することはありません。

 そもそも論を書くと、日本の卵と外国の卵は同じです。では、なぜ、日本だけ生卵が衛生的なのか。確かに、GP センター(卵選別包装施設)において洗卵・消毒しているのですが、それだけではないようです。

 ここで、鶏について考えてみましょう。鶏肉は、どんなに衛生的に処理したとしてもサルモネラ菌を取り除くことができません。したがって、十分に加熱することが求められています。

 ところが、卵は無菌状態です。そんなことは当たり前だと気づきますよね。サルモネラ菌が卵の内部に入り込んだら、当然腐ってしまいます。卵は常温保存が可能な食材です。だから、どの国の卵も基本的に問題ないのです。ただし、卵殻形成期に入り込むことがあるようです。

 ところで、昭和の人たちは、卵を割ったときに、卵の黄身が割れた状態なら、決して生では食べなかった。腐敗していると考えたからです。そして、必ず加熱して食べました。

 ところが、現在は、卵を割ったときに、黄身が割れているという場面は皆無でしょう。実は、これが日本の卵が安全だと言われる理由です。

 なぜ、卵の黄身が割れているのか。それは、卵の殻に入った微細なひび割れから細菌類が中に侵入し、卵の中身を汚染してしまったのが原因でした。卵の黄身は「カラザ」とよばれる繊維質で卵内中央に固定されていて、通常は黄身が割れることはありません。殻の微細なひび割れから侵入した細菌がサルモネラ菌の場合、強烈な腹痛を伴う食中毒の症状を発症します。賞味期限の問題ではなく、卵の殻のひび割れの有無が問題だったのです。

 現在、日本で販売されている卵はすべてひび割れの有無を確認しています。だから安全なのです。卵は常温で3週間程度保存できます。こんな食材は滅多にありません。そして、それを可能にしたのが、卵のひび割れの有無を確認する機械の発明でした。管理人がこの発明を知ったのはNHKの『探検ファクトリー』という番組でした。まるで綿棒のような棒が卵の表面を叩き、その打音でひび割れた卵を選別するという驚くべき技術が使われていました。

 だから、日本の卵は安全なのです。

 妊婦の子宮内の羊水は無菌状態です。そこに細菌が入り込むと流産します。通常は細菌が入り込まない仕組みがあります。卵の場合は、卵表面のクチクラの損傷やひび割れが発生しない限り、卵の内部は無菌状態が保たれます。

 つまり、卵のひび割れを見つけ出す技術を開発した企業の恩恵を受け、現在、日本人は、生卵を何の心配もなく食べることができるのです。

 当然、この技術は、海外にも輸出されているようですが、卵生産企業のすべてがこの技術を取り入れているかどうかは分からない。外国人が生卵を食べないという習慣を変えるまでには至っていないようです。

 ところで、管理人が外国で生卵を食べることができたのはなぜか。

 ここまで読めばおわかりでしょう。

 卵をスプーンの底でコンコン、とリズミカルに叩きます。そのうち、「パキッ」と音がします。殻にひび割れができたのです。しかし、見た目には全く変化がありません。ひび割れがあるのに目では見えないのです。

 卵を叩いて問題なければ、ひび割れはありません。ひび割れがなければ、生で食べても問題ない。さらに、黄身が割れていないことを確認すれば万全です。日本と外国の卵とを差別する必要などないのです。

 スプーンで卵のお尻にひび割れを入れる方法は、ゆで卵を作るときにいつも使っています。ゆで卵をゆでる前に、卵のお尻の部分をスプーンの重みだけで軽く叩き、「パキッ」と音がするまで叩き続けます。その後で普通にゆでます。こうすることで、ゆで卵の殻をむくのがとても簡単になり、ツルっと剥けます。管理人は、ゆで卵をゆでる際には、必ずこの方法を採ります。